神林長平『プリズム』

神林長平の『プリズム』という小説を読んでいた。このSF小説は、浮遊都市制御体と呼ばれる空に浮かぶ999機のスーパーコンピューターが人間の生活全般を管理し、制御している時代の都市で、しかし何故かそのコンピューターに感知されない、居るのに居ないことになっている(あり得ない)人間がいる、というところからはじまる話。この小説で、その999機の浮遊都市制御体のうちの一機が破壊されるシーンで、その「マーター」(これは、浮遊都市制御体の多様にある機能のそれぞれを束ね、制御している、意識的な「主体」のようなもので、マザーとマスターを合わせた言葉)が、自らが破壊され、機能を停止つつある(死につつある)ことを「認識」する描写が、ちょっと面白かった。(つまり、死を意識するコンピューターの内面描写。)
《熱のために能率が低下してゆくのがわかった。その効率の低下の直接原因は感知不能だったが、低下の速度は自身の計算と一致していた。それでマーターは自身が消滅するまでの時間を知ることができた。その最後の一瞬まで計算を誤らなければ、自身の機能は狂ってはおらず、それはそれ自身を満足させるものだった。》
●昨日の夜、ひどく酔っぱらっていて、パソコンのキーボードの上に焼酎を思いっきりこぼしてしまい、やっべー、と思った、という断片的なシーンが記憶にあるのだが、今、普通に何の異状もなくキーボードは使えるし、そのまわりから酒臭い臭いがするわけでもないので、あれは夢が幻覚のようなものだったのだろうか。(酔っぱらっていたのは事実。)