●「Oculus Rift」の体験会に参加させてもらった。
Oculus Riftの説明。
http://matome.naver.jp/odai/2137389319268231401?&page=1
仕掛けとしては、視野を調整するレンズを通してタブレット型PCの画像を見る、という感じで割と単純(だから300ドルという低価格で売れるのだろう)。画像の解像度はちょっと粗いのだけど(3D酔いへの対策という意味もあるらしい)、それよりも(視覚的なきめの細かさよりも)、視野の広さと、自分の体の動きに対してほとんどズレを感じずに映像の反応が同期することの方が、その空間へ「没入した」という感覚にとっては重要なのだということがよく分かる。リアルな空間のなかで視線を動かしているのとほとんど同じ感覚で物を見ることができた。
ただ、この空間のなかには自分の体がなくて(下を向いても自分の手や足は見えない)、ただ視線とその動きだけのものとして存在している。でも勿論、「自分の体がある」という感覚はなくならないので、例えば、霧やホコリが舞っているところへ近づいてゆくと、霧やホコリが「自分の体のなかを通り抜けてゆく」というような、不思議な感覚を味わえた。
だから体がないのではなくて(体がなかったら、そもそもの意味である「体感」が出来なくなってしまう)、体が見えないということで、透明人間や幽霊みたいな感じで存在しているということなのか。「物理的には体がないけど、体があるという感覚だけがある」という時に初めて可能になる「体感」ができる、と。
(「進撃の巨人」の立体機動を体感するゲームとかもあった。)
●これを逆に使えば、強制的に「他者の視線」を体験させることも出来る。リアルに『マルコピッチの穴』が体験できる。
●エロゲのキャラが部屋にいて、その女の子のスカートのなかを覗くというだけのソフトで異様に盛り上がったりするのだけど、例えば、コスプレやフィギュアは、キャラが「向こう側」から「こちら側」へ出てきたものと言えるけど、この場合は、我々の方が向こう側へ入って行ってるので、そして、キャラは「向こう側」では現実なのだから、ライブ会場や握手会で生のアイドルに「会える」ように、仮想空間では生のキャラに「会える」ということになるのではないかと思った。二次元の存在と三次元の存在が出会うことが出来るインターフェイスとしての仮想空間。
●この装置の優れたとろは、体の動きと映像のスムーズな同期にあるのだけど、それを逆に、意図的にすごく気持ち悪い感じにずらしてみるというのも面白いのではないか。そして、体がそのズレに慣れる頃には、また微妙にズレ方が変わっていて、どこまでいっても慣れることが出来ない、みたいな。自分の体が思う通りに動かないという悪夢が延々つづくみたいな。