2002-01-01から1ヶ月間の記事一覧

02/01/31

●冷たい朝。タイヤのゴムと道路のコンクリートがしっとりと触れ合う感触が、シャーッという静かな音となってたち、自転車はゆっくりと加速しながら坂道を下ってゆく。下り切った後少し上っている傾斜を、下った慣性で漕がずに上る。チリチリチリチリというチ…

02/01/30

●何かが破綻するということ。無理に無理を重ね、しかし無理は別に今に始まったことではなく、いつも何らかの無理を抱えてやってきたのだし、むしろ無理を抱えていることの方が普通なのだから、今のこの無理も何ということはないはずで、この先も何とかかんと…

02/01/29

●街灯の届かない屋上の地面に、丸々と大きく夜空に浮かぶ月の光が青白く反射して、まるで屋上のコンクリートそのものが内側から発光しているみたいで、ぼうっと明るい宙に浮いた光の場になっている。空の月はオレンジ色に輝いているのに、その光を受けたコン…

02/01/28

●乾燥している。歯医者で長いこと口を開けていると、喉の方までカラカラに乾いてしまって、オエッとなりそうになる。歯医者に通うのは十何年ぶりなのだけど、その間に治療の技術は随分いろいろと変化したみたいで、見たこともないような器機が毎回何かしら使…

02/01/27

●黒沢清の新作を観た、という「夢」を見た。『大いなる幻影』みたいな、低予算でつくられた90分弱の小さな映画で、素晴らしい傑作だった。どこかの家(普通の小さな一軒家。この家の外観を示す短いロングショットが素晴らしい。)に監禁されている主人公が、そ…

02/01/26

●批評空間HPのWeb CRITIQUE(http://www.criticalspace.org/special/index.html)に、『セザンヌと村上隆とを同時にみること』がアップされました。この日記の1/23の部分は、『セザンヌと村上隆とを同時にみること』についての補遺という感じで書かれていま…

02/01/25

●すごく久しぶりに銀座へ出て画廊を巡る。(映画を観るためになら来ているんだけど。)特にこれといったものはない。ギャラリー現の梶山さんと話していて、佐賀町の食料ビルに入っているギャラリーで小林正人の展覧会をやっていることを知る。こういう重要な情…

02/01/24

●夕方の川原は暗い。街灯もまばらな川原は、光を吸収してしまうみたいに暗くて、光を反射している川の水面だけがぼうっと明るい。空はまだ明るさが残っているし、遠くの灯りや、対岸を走っている車のライトなどは眩しい程なのだけど、自分の身の回りはぼんや…

02/01/23

●歩く。風邪が治って、外は気持ちよく晴れているので、風は冷たく吹き抜けるけど、歩くことにした。生け垣の前を通ったら、ミャーミャー鳴く声が聞こえたので、掻き分けて覗いたら、猫が、生け垣のなかに埋まるように丸くうずくまっていた。緑地のなか、細か…

02/01/22

●病み上がりには腹が減る。しかし薬で荒れた胃はいきなり詰め込まれた沢山の食物を許容しきれず、胃もたれをおこす。歯医者の予約時間に間に合うために走ったら(まだちょっと足元がふらつく)、そのせいでか、駅の階段の途中で強烈な胸やけに襲われる。なぜか…

02/01/21

●朝目覚めたら、昨日よりさらにひどい体調。それでも出かける用事がある。耳の奥で小さな蠅が羽ばたいているような、小さなモーターがうなっているような、ブーン、ブーンという耳鳴りがする。歩いていると時々、テレビの画面にノイズがはしるように、空間が…

02/01/20

●甘くみていた。1日寝ていれば治るだろうと思っていた風邪は、むしろ寝ている間にじわじわと体を侵蝕して、だんだんと症状か重くなってゆくのだった。うつらうつらと眠っては目覚めることを繰り返して、目を覚ます度に不快感が増している。ルビッチの『生活…

02/01/19

●昨日あたりから腹の具合がおかしいと思っていたら、今日になって喉が腫れてヒリヒリと痛くなった。微熱もある。大したことはないのだけど、風邪が長引くと面倒なので、たらたら寝て過ごすことにした。初期のテレビゲームみたいな、単純な幾何学的パターンの…

02/01/18

●濃い青紫の雲がにじんだ絵具みたいに上空を覆い、空の端の雲のかかってない部分は夕日で赤紫に染まっているような夕方、「歳をとってくるとね、今頃の時間が一番嫌なんだよね。暗くなってしまえばなんてことはないんだけどね、ちょうどこんな暮れかける時間…

02/01/17

●明日は、青山ブックセンターで、『噂の娘』刊行記念で金井美恵子の講演会+サイン会があるという情報を頂いたのだけど、行けそうもない感じだ。『噂の娘』は読んでしまうのが勿体無いような感じで、ちびちびと読んでいる。途中で『金井美恵子全短編』に寄り…

02/01/16

●日比谷シャンテ・シネ3で、アモス・ギタイの『キプールの記憶』。この映画が驚くべきものであるのは、それを構成するショットたちに流れている時間が、ただ「物語」に奉仕している訳ではないというだけでなく、「映画」にも奉仕していない、というところに…

02/01/15

●確かに絵画を描くという行為は、多分に自閉症的な快楽、つまり自分の身体に対して自分で負荷をかけ、その負荷を感じている自分の身体を楽しむというような快楽に駆動されるという部分が多いと言えるだろう。(絵を描くことは「視覚的」な刺激によって駆動す…

02/01/14

●昨日のことに関連して、ちょっと自分の作品について書いてみる。恐らく「画家」としてのぼくは、物質との「知覚」を超えた交感=交歓のようなものを、とりあえずは信じている。しかしそのことに過剰な意味を付与したくはない。確かにこのことは、「つくる人…

02/01/13

●若林奮/前田英樹『対論・彫刻空間』をパラパラめくっていた。ぼくは基本的に前田氏に対しては批判的だ。ほとんど許しがたいと思える時すらしばしばある。前田氏の話が、「全体」だとか「自然」だとか「本質」だとか「存在」だとか「目的」だとかいう言葉に…

02/01/12

●車道から一段高くなっている歩道。その段差のところに、風で吹き付けられ、半ば砕けた落ち葉がゴミと一体になって吹き溜まっている。団地に沿ってゆっくり下っている道路を下り切った左側にある、陸上競技場のトラックののっぺりした平面にも、風が吹き抜け…

02/01/11

●ストーブをつけたまま、その近くでうたた寝をしてしまったら、足を火傷してしまって、まだらに赤く腫れてしまう。ズボンの前ポケットに入れていた小銭が加熱されて熱くなったのが原因みたいだ。DVDでビリー・ボブ・ソーントンの『すべての美しい馬』。決…

02/01/10

●1日じゅう部屋にいてチマチマと何かやってた。どれも既に観たものばかりだけど、ラウル・ルイス『見出された時』、ゴダール『東風』、ルノアール『トニ』をビデオで観る。『見出された時』は、去年公開さた映画のなかではかなり重要な作品だと思うのだけど…

02/01/09

●DVD故障の件で、テレビとDVDの間にビデオを接続していると、コピーガードが作動してしまうのではないか、というメールを頂いた。それで、デレビに直に繋いで試してみたのたけど、それでも駄目だった。DVDを買った大型電気店に電話をしてみたら、す…

02/01/08

●「群像」1月号(もう2月号が出ちゃったみたいだけど)の、松浦寿輝『あやめ』を読んだ。ここまで徹底していると、松浦氏の小説における自己反復と言うか、マンネリは全く大したもので、もう頭を下げるしかないという感じだ。これは本当に、傑作と言っていいん…

02/01/07

●さっそくDVDプレーヤーが壊れる。まだ、映画を1本半しか再生していなのに。こんなに壊れ易いものなのか。ジョージ・キューカーの『フィラデルフィア物語』を観ていて、約半分くらいだろうか、キャサリン・ヘップバーンがケイリー・グラントから、君は人…

02/01/06

●DVDを購入した。で、近所のツタヤを覗いたのだけど、まだソフトはそれほど充実はしていなくて、ビデオでも観られるタイトルが並んでいるばかりだった。●で、最初に観たのがトリュフォーの『日曜日が待ち遠しい!』。この、まるで乾燥した落ち葉が風に吹か…

2002/01/05

●実家のすぐ近くには川が流れていて、川沿いの道を3~40分歩いて下ってゆくと海に行き着く。真っ青な空の色を反映した川の水面も真っ青で、よく見るとその青の下から濃いエメラルドグリーンの層が透けて見えることで、水の厚みを感じる。川やそのまわりの風…

2002/01/01

●昨年末に松浦寿輝の小説を読むために買った「群像」1月号をパラパラ眺めていて気付いたのだが、金井美恵子の連載小説『噂の娘』が載っていない。と言うことは、あの小説は完結したのだろうか。決して頻繁にチェックしていた訳ではないけど、年に何度かは興…