2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『ブルーベルべット』『On the Air』(デヴッド・リンチ)

●『ブルーベルべット』(デヴッド・リンチ)をDVDで、久々に観直した。リンチの映画は基本的に濃厚な徴候によって支配されていて、そこにあらわれるいくつもの徴候や予感が、これから起こる事件の徴候なのか、既に起こってしまった事件の余韻なのか、それとも…

『彗星まち(獣たちの性宴 イクときいっしょ)』(今岡信治)

●『彗星まち(獣たちの性宴 イクときいっしょ)』(今岡信治)をDVDで。95年製作の今岡信治(いまおかしんじ)のデビュー作。九十年代に、映画の好きな青年が、大学の映研とかではじめて自分の映画をつくるとしたら、多分だいたいこんな感じで撮るだろうなあ、とい…

ラウル・デ・カイザー展を観て思ったこと

●初台のワコウ・ワークス・オブ・アートで、ラウル・デ・カイザー展を観た。そんなに素晴らしくは良くないけど、ちょっと面白かった。おそらく、八十年代以降の「現代アート」は、作家が「形式」に自分自身を賭けることができなくなった。抽象表現主義、ミニ…

『おじさん天国』(いまおかしんじ)、つづき

(昨日の補足) ●『おじさん天国』(いまおかしんじ)で、おじさんは、セックスで感極まりそうになると、相手の女性の身体に赤いマジックペンで自分の名前を書き込む。昨日も書いたが、このおじさんは死の国から戻ってきたかのような、半ば幽霊のような存在であ…

『おじさん天国』(いまおかしんじ)

●『おじさん天国』(いまおかしんじ)をDVDで。一時間ちょっとの短い映画だということもあるけど、あんまり面白いので、つづけて三回も観てしまった。しかし、同じ映画をつづけて繰り返し観るというのは、あまり良いことではないかもしれないと思った。映画を…

紫、「コードギアス」、「まなびストレート」

●おそらく、紫陽花の季節だということが理由なのだと思うけど、最近、ぼくの描く絵のなかに紫が侵入してきている。紫という色は、とても魅惑的な色なのだが、同時にとても危険な色だ。紫は、少し油断しているとすくに画面を「紫に染め」てしまう。「染まる」…

福居伸宏の写真

●渋谷のTWS shibuyaで「東京画」という展覧会を観た。浅見貴子展が最終日だったのでもう一度観ておこうと思って出かけ、その割と近くでやっているのを知ってぶらっと覗いてみただけで別に何の期待もなく、実際、ざっと会場を巡ったかぎりではあまり面白いと…

「うきぐも」で、永瀬恭一の作品を観た

●川口のアトレア他でやっている「うきぐも」(http://www.masuii.co.jp/ukigumo/ukigumotop.htm)で、永瀬恭一の作品(http://www.masuii.co.jp/ukigumo/ukigumoartimagase.htm)を観た。綿のキャンバスに、白に近い、きわめて狭い範囲の抑制されたグレーのタッ…

引用、メモ。遊びと身体制御の獲得について(樫村愛子)

●午前中は制作、午後は、一昨日試写で観てきた『ミリキタニの猫』という映画のレビューを書いていた。この映画は、サクラメントで生まれ、広島で育ち、戦前の日本の軍国主義化に嫌気がさして、「私はアーティストだから兵隊にはならない」と家を出てアメリカ…

貧乏

●先週の木曜(14日)の朝からはじまった爆発的な制作モードで、この一週間の間にF10前後の小品10点と、それよりやや大きめのF40とF50の作品、合計で12点ものタブローを描いた。(その他、描きかけの作品が2、3点ある。)人によっては、そんなの大したことないと…

「1-5補遺(ゲーム的リアリズムの誕生)」(東浩紀)

●銀座にある松竹試写室に試写を観に行った。試写とはいえ、スクリーンで映画を観るのはすごい久しぶりだ。 ●電車のなかで、『文学環境論集 東浩紀コレクションL』のエッセイ編の方の「1-5補遺(ゲーム的リアリズムの誕生)」という部分だけ拾い読みした。自分…

坂中亮太展、境澤邦泰展、浅見貴子展(二度目)

●銀座、ギャラリー現で坂中亮太展(http://www.jpartmuseum.com/jam_live/g_gen125/)、両国、ART TRACE Galleryで境澤邦泰展(http://www.arttrace.org/gallery/member/sakaizawa/sakaizawa.htm)、猿楽町、アートフロントギャラリーで浅見貴子展(二度目)、など…

制作が、ようやくいい感じになってきた

●制作が、ようやくいい感じになってきた。やはり、いい感じになってくると作品からすっと離れられる。 制作している間は、ずっと自分の作品を観ているので、どうしても目が慣れてしまう。目というのは、基本的に「見えているものを受け入れる」感覚器官だろ…

モネの「舟遊び」とか

●ここ数日、なかなか上手くいかない作品と格闘したり(かすってはいるのだけど、なかなかジャストミートにまでいかない)、梅雨にはいったのに良く晴れた強い日射し(多分、一年のうちで最も日射しが強い時期だろう)のもとを散歩したりしている間に、ずっと頭に…

●デッサン会に出かけようと支度をして、出がけにスケジュールが書かれた表をチェックしたら昨日だった。最近、こういうことが多過ぎる。若冲の展覧会の最終日を勘違いして観に行けなかったことを反省して、パソコンの横に貼ってある小さなカレンダー(うちに…

制作モード

●今日も早起きして制作。F40とF10の作品を並行して描きはじめる。タブローの制作が久々に本気モードに入りそうな感じになってきている。まだ「入った」とは言い切れないけど。(ずっとドローイングばかり集中してやっていて、タブローは手慣らし的な作品しか…

柴崎友香『主題歌』を読んだ

●朝早く、午前五時半くらいに目が覚める。ぼーっとした頭が起きがけのコーヒーで徐々にはっきりしてくると、描けそうな「感じ」がふわっと浮かんでくる。コーヒーを飲み終えると朝食も採らずにそのままタブローの制作をはじめ、午前九時頃までに、小品を二点…

浅見貴子展の作品を観ながら考えた

●昨日、浅見貴子展の作品を観ながら、次のようなことを考えた。 ●作家のスタイルというのは、作家が作品をつくるために世界に向かう時の、身構える姿勢というか、世界に触れる技術のあり様というか、作業をすすめてゆく段取りの組み方のようなもののことで、…

アートフロントギャラリーで、浅見貴子展

●猿楽町のアートフロントギャラリーで、浅見貴子展(http://www.artfront.co.jp/jp/hsg/lib07_6.html)。ベタに「画家」であることの強さ、というのを、浅見さんの作品を観る度に思う。アートワールドでの流行や文脈なとどは関係なく、かといって、「私」やア…

「ふるさと以外のことは知らない」「市街地の家」(青木淳悟)

●雨があがったので、画材を買いにゆくことが出来た。京都へ若冲を観に行くためにとっておいた新幹線代まで、画材に化けた。両手で抱えきれないくらいの荷物をもって、駅からアパートまでの緩い登り坂を上って帰る。汗だくになる。 ●『いい子は家で』(青木淳…

『いい子は家で』(青木淳悟)

●『いい子は家で』(青木淳悟)に収録されている「いい子は家で」を読んだ。とても面白かった。「新潮」に掲載された時に読んで、感想も書いている(http://d.hatena.ne.jp/furuyatoshihiro/searchdiary?word=%a4%a4%a4%a4%bb%d2%a4%cf%b2%c8%a4%c7)けど、この…

●期限の迫った用事をこなすため、一日じゅう部屋にいた。夜になってようやく用事が片付き、買い物に出ようと思ったのだが、雨が強くなってきたみたいなので面倒になってやめた。ビデオは今日返さないと延滞になってしまうのだが。 食べるものが何もないので…

『生き延びるためのラカン』(斉藤環)を読んだ

●『生き延びるためのラカン』(斉藤環)を読んだ。なるほど、今までラカン入門みたいな本を書いた人は、なぜこのように書けなかったのか、というくらい分り易い。精神分析にアレルギーのある人には、とても良い入り口になるのではないか。 ●科学者はおおむね精…

岡崎乾二郎の作品を観ていて思ったのは

●岡崎乾二郎の作品を観ていて思ったのは、それらの作品が「目」によって制御されている度合いの低さだ。大きな作品であれば、一つ一つの筆触は目で制御されていないとしても、それらの筆触たちを組織し、統合するには、「目」による厳しい管理の度合いがどう…

A-thingsで、岡崎乾二郎展

●吉祥寺のA-thingsで、岡崎乾二郎展。岡崎乾二郎という作家はとてもクリアで頭がよく、だからこそ高度に防衛的・抑制的な側面があるように思われる。そのような抑制されたクールな手触りが岡崎作品の特徴の一つでもあるのだが、しかしその防衛が時々ふっと緩…

『コードギアス 反逆のルルーシュ』を4話まで

●『コードギアス 反逆のルルーシュ』を4話までDVDで。まだ、物語がたちあがったばかりのところまでしか観ていないので何とも言えないけど、あまり面白くなりそうな感じはなかった。「エヴァ」以降の(セカイ系というより、榎戸洋司的な、と言うべき)、登場人…

●気付いたら京都の若冲展が終わっていた。ぼくの記憶のなかでは6日か8日までやっているということになっていて、いよいよ明日、早起きして始発で京都まで出掛けようと気分も盛り上がって、直前の確認と思って調べてみたら昨日で終わっていた。3と6と8とは字…

リチャード・リンクレイター『スキャナー・ダークリー』

●リチャード・リンクレイター『スキャナー・ダークリー』をDVDで。これは酷い。もし映画館へ観に行ってスクリーンで観ていたら10分も耐えられなかったと思う。そもそも脚本とか演出とかが、たんにディックを「説明している」だけで退屈なのだけど、もし、普…

デヴィッド・リンチ『ワイルド・アット・ハート』

●デヴィッド・リンチ『ワイルド・アット・ハート』をDVDで観直してみた。最初に観た時は、この映画でリンチがなにをやろうとしているのかよく分らなかった。だけど、『マルホランド・ドライブ』や『ロスト・ハイウェイ』などの完成度の高い作品を観た後では…

●保坂さんに声をかけていただき、樫村さんとお会いすることが出来た。ピリピリと全身に緊張の張りつめた感じの人だろうと予想して(ビビッて)いたのだが、とても当たりのやわらかい、細かな気配りをされる方で驚いた。しかしそのやわらかさは、常に自分を抑制…