2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

2021-04-30

●『疾風怒濤精神分析入門』(片岡一竹)を読んでいると《ことほど左様に》という言い回しがでてくる。94年生まれだという若い筆者からこのような言葉が出てくることを意外に感じた。ぼくは、現在の人でこの言い回しを使う人を菊地成孔くらいしか知らない。グー…

2021-04-29

●『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』、五話まで観た。たとえば、庵野秀明にはヴィジョンはあるがロジックはない、のではないか。ぼくが『シン・ゴジラ』にいまひとつ乗れないのはそのためだろうと思う。円城塔は、ゴジラを「存在させる」ためのロジック…

2021-04-28

●『大豆田とわ子と三人の元夫』第三話、角田晃広回。おそらくこのドラマで元夫たちが離婚した松たか子にいつまでも執着するのは、彼女との過去は「良いもの」であるが、その良さは一方的に松たか子によって与えられたもので、自分はそれに対して何も返すこと…

2021-04-27

●テレビドラマが、ある程度「わかりやすさ」や「お約束」「紋切り型」に譲歩しなければいけないということは理解する。分かりやすい物語をみてすっきりしたいという欲望に奉仕することを要請されているだろう。とはいえ、『大豆田とわ子と三人の元夫』を観る…

2021-04-26

●けっこう身近なところでコロナに感染した人が出たようだ。具体的には書かないが、友人の友人の友人、というくらいの近さの人(つまり、間に二人を介して繋がる関係の人、ただ、この「間の二人」はかなり近い関係)。友人の友人くらいの近さの人が濃厚接触者…

2021-04-25

●良い評判を聞いたので期待して『今ここにある危機とぼくの好感度について』、第一話をU-NEXTで観たけど、ぼくは駄目だった。まず、主人公の松坂桃李が、小泉進次郎を安易にいじったようなキャラで、ベタすぎるというか、ひねりがないと感じたし、世界はそん…

2021-04-24

●『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』の一話、二話をNetflixで観た。円城塔によるゴジラ。今のところ、ゴジラ要素よりSF要素の方が強め。さすがというか、当然というか、SF設定が濃くて隅々まで隙が無い感じ。本格的なSF感のあるアニメは最近あまりなかっ…

2021-04-23

●聞いた話。下水には「雨水」と「汚水」の二種類があって、通常は別々に処理される。「雨水」は、(量的な制限が必要な場合はあるとしても)そのまま川や海などの環境に戻しても問題はないが、「汚水」はきちんと処理した上で、環境に戻さなければならない。し…

2021-04-22

●萩尾望都の本、つい読んでしまった。特に熱心なファンというわけでもないのに、興味本位で首を突っ込んで他人のデリケートな事情をのぞき見してしまった罪悪感が強く残る。 (とはいえ、この本から最も強く感じられたことは、語られている個々の出来事よりも…

2021-04-21

●kiki vivi lilyの声が好き過ぎる。 kiki vivi lily - ココロオドル with nobodyknows+ (Official Music Video) https://www.youtube.com/watch?v=-LPyKQKjnp8 kiki vivi lily / Brand New (Session at Red Bull Music Studios Tokyo) https://www.youtube.c…

2021-04-20

●『大豆田とわ子と三人の元夫』、第二話。今回は岡田将生回。このドラマに軽さ(軽やかさ)を生んでいるのはおそらく、松たか子が三人の元夫の誰かと復縁するという(湿った)展開になる可能性がほぼないということを確信させる雰囲気を松たか子が出していること…

2021-04-19

●保坂和志の「小説的思考塾 配信版 vol.3」の話題で強く興味を感じたのは、卵としての過去という話だった。ドゥルーズは、ニワトリが産むのは卵だが、卵がニワトリになるとは限らない(突然変異で「別のものになる」可能性がある)とし、卵が先かニワトリが先…

2021-04-18

●保坂和志の「小説的思考塾 配信版 vol.3」で、話のマクラとして使うために「人は人に対して、どのように、権力・支配力・優位性を行使するか」という資料が配付されたのだが、これはとても重要なものだと思った。はっきりと分かりやすい立場や力の差がある…

2021-04-17

●(昨日の補足) 『はるか、ノスタルジィ』の印象は、とにかく「しつこい」。音楽がしつこいし、ナレーションがしつこい、謎解きがしつこい、のだが、なにより「切り返し」がしつこい。そんなに何度も切り返しする? 、この場面もまた切り返しなの? 、と思って…

2021-04-16

●『はるか、ノスタルジィ』(大林宣彦)を観た。80年代の大林宣彦はリアルタイムでけっこう観ている。2000年以降の作品も、(『この空の花 -長岡花火物語』以降の作を観てから遡行するという形でだが)かなり多くを観ている。だが、90年代の大林作品をまったく観…

2021-04-15

●『大豆田とわ子と三人の元夫』、第一話をU-NEXTで観た。別れた三人の元夫が三人とも、別れた後もなお元妻に対して執着をもっているという、普通に考えればかなり気持ち悪い構図を、あたかもライトなコメディであるかのように仕立ててしまうという超絶技巧的…

2021-04-14

●大島渚の主要な作品は、今のところそのほとんどをU-NEXTで観られるのだけど、代表作の一つと言えるはずの『絞死刑』がなぜか観られない(DVDソフトは高騰している)。ぼくは『絞死刑』を、高校生の時に「戦メリ」公開記念で行われた大島渚特集上映(確か、巣鴨…

2021-04-13

●ある人の話を間接的に聞いた(面識はない)。六十代半ばの女性。その人は、小学校卒業後に地方の私立の女子大の中等部に入学し、そのまま高等部、大学とすすみ、卒業すると、母校の中等部・高等部の教師となり、定年までそこで教え続け、定年後も嘱託講師とし…

2021-04-12

●細田守の新作『竜とそばかすの姫』がちょっとだけ気になってきている。主人公は17歳の女子高生で、彼女はリアルな世界では田舎に住む引っ込み思案な少女だが、ネットの世界では世界が注目する歌姫である、という設定をみると、完全に「日本のオリジナル劇場…

2021-04-11

●『生きるとか死ぬとか父親とか』第一話を観た。最近のドラマやアニメは(どうしても最初に「つかみ」をとる必要からか)一話目にがっつりと多くの要素を盛り込んでくる感じのものが多いと思うけど、これは、冒頭部分だけ「おっ」と思わせるが、それ以外は割と…

2021-04-10

●U-NEXTのラインナップに入ったので『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(黒沢清)を久々に観た。今観たら古びていて面白くなかったらどうしようと怖々観たのだけど、とても良かった。ぼくは基本的にこういうのが好きなのだということを改めて確認した。 リアルタイム…

2021-04-09

●この一年くらいで、家に帰るとまずは手洗いとうがいという習慣が無意識のレベルにまですり込まれたみたいで、帰宅してしばらくしてから、「ヤバい、手を洗ってないじゃん」と急いで手洗い場にたつと、手を洗うという行為に伴って記憶が意識化されて、「あ、…

2021-04-08

●従来からある差別感情と、陰謀論に絡んだ被害妄想的な差別感情とは、別物として分けて考える必要があるのではないかと思う。従来の差別主義者は自分たちがマジョリティだと思っている(あるいは、マジョリティであるが故にマジョリティ=自然と思っていてマ…

2021-04-07

●これは前にも書いたことがあるかもしれないが。コロナ以降、いままでライブスペースでやっていたようなトークイベントが、有料、期間限定で配信されるようになった。有料で期間限定(期日を過ぎると観られなくなる)であることによって「ここだけの話」という…

2021-04-06

●『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』(細田守)を改めて観て、過去のぼくはこの作品に対して不当に冷淡だったかもしれないと反省した。かっちり構築されていて演出もキレキレでとても良い作品だった。『おジャ魔女どれみ ドッカ~ン!』の原田知…

2021-04-05

●これ、なかなか良いのではないか。 【VOCALOID/初音ミク】phew「終曲」 https://www.youtube.com/watch?v=2O6hdz8PFW4 中学生の時に繰り返し聴いた(80年リリース)。 phew-終曲 https://www.youtube.com/watch?v=fCkoAOigoXY ライブもあった。かっこいい。 P…

2021-04-04

●久々に夢に祖父が出てきた。祖父が亡くなってもう三十年ちかい。亡くなってから十年くらいは頻繁に夢に出てきた。晩年の祖父は医者からタバコを禁じられていたが、トイレで隠れて吸っていた。隠れてと思っているのは祖父だけで、そのことを家族はみんな知っ…

2021-04-03

●改めて「カタストロフ」(町屋良平)を読み返すと、昨日書いたことはあまり正確ではなかったなと思った。最初からけっこう、「鳥井」の方が語り手側としての比重がかかっている。最初の場面も、最後まで通して読めば、まあ「鳥井」の側の出来事なのだろうとい…

2021-04-02

●ぱらっとみた感じでは連作集であるらしい『ふたりでちょうど200%』(町屋良平)から、最初に収録されている「カタストロフ」を読んだ。 この作家の小説は、『坂下あたると、しじょうの宇宙』も『1R1分34秒』も、実践(描かれること)についての実践(書くこと)…

2021-04-01

●東工大で文学の講義をします。第3クォーターなのでまだ先です(↓シラバス)。 http://www.ocw.titech.ac.jp/index.php?module=General&action=T0300&GakubuCD=7&KamokuCD=110100&KougiCD=202100885&Nendo=2021&lang=JA&vid=03 ●野島伸司が脚本を書いたアニメ…