2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャコメッティ、チリーダ

●(神奈川県立近代美術館、葉山館で観た)ジャコメッティは本当に特異な作家で、初期の頃にはシュールレアリスムに影響を受けていたとはいえ、美術史とかモダニズムとか、同時代の美術の動向とかにはほとんど関係ないように思える。ジャコメッティの関心はほぼ…

朝早く出かけて

●朝早く出かけて、神奈川県立近代美術館、葉山館(着くまで三時間かかった)でジャコメッティ展、鎌倉館でチリーダ展、そこから渋谷へ出て、ゆーじん画廊で岡崎乾二郎展、を、観た。 ●神奈川県立近代美術館のロケーションやその建築とジャコメッティの作品とは…

電車がやけに混んでいた

●電車がやけに混んでいた。浴衣の人が多い。本日は花火大会のため混雑が予想されるので、帰りの切符は今のうちに買っておいて下さい、というアナウンスが車内に流れた。電車が駅の手前で止まる。ただいま、ホームか混雑しているため、前の列車がつかえていま…

『「赤」の擁護-フィクション論序説-』(蓮實重彦)

●「新潮」に載っていた『「赤」の擁護-フィクション論序説-』(蓮實重彦)を読んだ。蓮實氏がラカンにネチネチと嫌みを言っているのはさすがに面白いけど、でも、これが「フィクションの擁護」として機能しているのだろうか、という疑問はある。(ぼくはこの「…

A-thingsで境沢邦泰展を観た

●昨日のことだけど、吉祥寺のA-thingsで境沢邦泰展を観た。キャンバス全体が単色に塗り込められた作品と、キャンバスの白い地が残る程度に、画面内に筆触が散らばっている作品の、二種類が展示されていた。これらの作品はどちらも、山型にセットされた白い布…

『涼宮ハルヒの憂鬱』(谷川流)

●『涼宮ハルヒの憂鬱』(谷川流)は、思ったよりも面白かった。全体を構成している一つ一つのパーツはわりとよくある話で、ありふれているけど、それを、「こう繋げるのか!」、という驚きがある。もしぼくが、小中学生の頃に読んでいたら、かなりハマっただろ…

●昨日書いていた原稿は、結局ヴァージニア・ウルフの引用部分をまるまる削ってしまった。枚数の問題もあったのだけど、原稿に書いたほとんどすべての部分の底に、引用しようと思っていたウルフのテキストが響いているので、それに、わざわざもう一度引用を重…

●本屋で新刊の棚に並んでいる小説の本(日本の現代作家の本)の何冊かを、その書き出しの十ページくらいを、それなりに真剣に立ち読みしてみたのだけど、そのどれもが自分からあまりにも遠いもののように感じられてしまうのだった。(唯一、すんなり受け入れら…

ホットココア

●近くの喫茶店でホットココアを飲みながら原稿を書いていた。木曜にも、同じ店の同じ席で、同じものを飲みながら、一時間くらい本を読んでいた。注文を取りに来た女の子も同じ人だった。この店は割合に敷地が広いチェーン店で、利用客も多く、大勢の人が働い…

相米慎二『雪の断章・情熱』

●相米慎二『雪の断章・情熱』をビデオで。この映画は相米監督の作品中でも地味な位置に置かれていて、スクリーンで上映されることもほとんどないし、ぼく自身、観たのは十年以上ぶりだと思う。しかし(『風花』について書いた時にも触れたのだけどhttp://d.ha…

池田雄一『カントの哲学』第二章、その他

●一昨日引用したコプチェクの「(無)限定的的世界の時代における悪」をざっと要約すると以下のようになる。 カントにおいて自由は、道徳的な規則に従うということで、つまり、石を投げ上げれば落ちてくるというような、自然の法則に支配されるのではなく、例…

ブライスコレクション「若冲と江戸絵画」展

●東京国立博物館へ、ブライスコレクション「若冲と江戸絵画」展を観に行った。若冲の絵は、三の丸尚蔵館で観たのが圧倒的に良かったので、それと同等のものが観られるかと期待したけど、それほどではなかった。(「鳥獣花木屏風図」は、まあ、珍しいものでは…

●引用。メモ。ジョアン・コプチェク「(無)限定的世界の時代における悪」(『〈女〉なんかいないと想像してごらん』)より。カントと恩寵(そしてマイケル・フリード)について。 ●《事実カントは、自分の道徳理論を、究極原因論に対する断固たる反対の上に打ち立…

●雨が降って空が雲で覆われているためにかえって薄明るい遅い夕方に輝く無数のネオンは、暗闇を背景にした時のようにはっきりとではなく、ぼうっと浮かび上がるので、そのため、派手に輝くネオンよりもむしろずっと「浮いた」感じで非現実的に見えて、焦点が…

●展覧会も終わり、今日は一日何もしないで休もうと思っていたら、疲れていたのか嘘みたいに眠れて、15、6時間くらいは寝ていた。途中からは、疲れてぐっすり寝ていたというより、(具体的な内容は覚えてないけど)やたらと幸福な夢をみていて、目が覚めても起…

●展覧会の最終日も終了しました。観に来てくださった方々に感謝します。週に二日くらいは会場にいたのですが、会場で、観に来てくれた人と話しながら、その時に(相手の質問などに答えようとして)自分の口から思わず出て来た言葉によって、自分のやりたかった…

ハイデン・ヘレーラ『マチスの肖像』

●古本屋で見つけた、ハイデン・ヘレーラという人が書いた『マチスの肖像』という本を半分くらいまで読んでいた。ぼくはマティスのマニアックなファンではあるけど、画家の生涯についての細かいことはあまり知らないので、読み物として面白く読んでいる。絵画…

ベルトリッチ『ドリーマーズ』

●ベルトリッチの『ドリーマーズ』をDVDで。おそらくこの映画を観た多くの人がそうだったと思われるのだけど、あまりのことに開いた口が塞がらない、という感じだった。『リトル・ブッダ』くらいからのベルトリッチが、もはやあのベルトリッチではないことは…

●二台目として使っていた中古のiBookが、普通に使っている時、何の前触れもなく、どういう意味かよく分からないけど、ヤバいということだけはすぐに分かる文字をババーッと画面に浮かべて、そのままフリーズしてしまった。一度電源をオフにしてから再起動さ…

●展覧会は、最終週に入りました。宣伝第二弾として、ドローイングの部分拡大画像を載せておきます。(画像3 http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/athings3.html) ●「見えてしまう」ことへの素朴な信頼。例えば、ブリジストン美術館へ行けば、エジプト時…

●例えば、粘土でつくる塑像は、いくらでも付け足したり削ったり、作ったり壊したりできる。つまり、延々と、自分が納得するまで、いつまでも手を入れつづけることが物理的に可能だ。しかし、作品というのは、その出来が良かろうが悪かろうが、納得出来ようが…

●引用。メモ。座談会『世界共和国へ』をめぐって(「at」4号 柄谷行人、浅田彰、高澤秀次、萱野稔人)から、萱野稔人と柄谷行人の発言。(P18〜19) ●萱野稔人の発言 《世界共和国をどのように考えるかというのは非常にポレミークな問題ですね。個々の国家を上か…

●A-thingsでのドローイングの展示は、今日で4週目が終わり、あと、来週一週を残すのみになりました。そこで、宣伝のため、展示風景と作品の写真を載せておきます。(画像2http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/athings2.html)これを見て興味を持った方が…

『時効警察』

●『時効警察』の三話と四話をDVDで観た。なぜいきなり三話、四話なのかというと、一話、二話が収録されたDVDの一本目が全てレンタル中だったから。 ある時期、ぼくが観る日本映画に、かなり高い頻度で麻生久美子が出演していた。そして、麻生久美子という女…

池田雄一『カントの哲学』の第一章「シニシズムの完成者としてのカン

●池田雄一『カントの哲学』の第一章「シニシズムの完成者としてのカント」を読んだ。そこにある「問題意識」の多くには深く納得させられたし、カントについての記述も興味深い。しかし、カントと現在のアクチュアルな問題と結びつける時の操作に、いくつか納…

ブリジストン美術館の坂本繁二郎展

●ブリジストン美術館へ坂本繁二郎展を観に行く。やはり、画家は長生きしなくては、と、改めて思う。何と言っても、64年以降(つまり、82歳以降)に描かれた絵が圧倒的に良いのだった。この、最晩年の飛躍には驚いた。画家は、82歳になってからでも「化ける」こ…

●コンビニを出て、軒先から雨の降る表を見ると、雨はシャーッという静かな音をたてて降っていて、その雨音に他のあらゆる物音が吸収されてしまったかのように静まり返っている。しかし、傘をさして一歩踏み出したとたんに、傘に当たる雨の音がダダダダダッと…

●じめじめした蒸し暑い日がつづいているけど、長引く梅雨の中休みで、最近では雨があまり多くは降らないせいか、近所に咲いている日向の紫陽花の多くが、干涸びた感じになって、その色の、独特の「涼しげ」な感じを失ってしまっている。日陰にある紫陽花は、…

●ぼくのドローイングを作品の素材として使いたいという、映画作家の野上亨介さんの撮影に立ち会う。カメラを画面から数センチくらいの距離にまで近づけた極端な接写で部分を捉え、(線を追うように?)画面と水平にカメラを動かして撮影していた。撮影が思った…

武蔵野美術大学「見ること/作ることの持続・後期モダニズムの美術」

●昨日のことだけど、武蔵野美術大学の美術史料図書館展示室でやっている、「見ること/作ることの持続・後期モダニズムの美術」を観に行った。ムサビは、受験したことがないので行くのがはじめてで、昼間の用事で予想よりも遅い時間になってしまい、多分、鷹…