2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

●ふと思い立って、大学の跡地へ行ってみた。ぼくの通っていた大学は、ぼくが卒業した後すぐに移転したので、今はそこにはない。行ってみたら、本当に何もなかった。 大学があったのは、今住んでいるところの最寄り駅の隣りの駅だから、そんなに遠くない。し…

平野勝之『由美香』

●平野勝之『由美香』をビデオで。この作品が傑作だという評判は知っていたけど、ここまで素晴らしいとは!、と驚かされた。作品をつくるには作家の才能とか努力とか運とかいろいろあるだろうけど、傑作というのは、その作品にまつわるあらゆることが、その作…

●よしながふみ『大奥』(1)(2)。この人は、典型的な、「読むことによって描く」作家なのだなあと思った。非常に成熟したポストモダニストというのか。絵や描線も含め、隅々まで知的に、端正に制御されていて、乱れるところも破綻もなく、読みながら、そのこと…

●正しさとは別の原理によって厳密さを追求すること、競争とは無関係なやり方で自らを律して、充実を得ること。作品を作るという時、あるいはたんに生きるという時、これらはとても困難で、しかしとても重要な問題だと思う。 ●実際問題として競争を避けて生き…

『やわらかい生活』『ローズ・イン・タイドランド』

●廣木隆一『やわらかい生活』、テリー・ギリアム『ローズ・イン・タイドランド』をDVDで観た。 ●『やわらかい生活』は、さらっと観ると「さすが」という感じ。面白いとか、刺激的だということは全くないのだけど、やっていることがいちいち決まっているのが…

アルノー・デプレシャン『魂を救え!』

●アルノー・デプレシャン『魂を救え!』をビデオで。前にも何度か観ているけど、すごく考え抜いてつくられているのはデプレシャンだから当然として、でも、デプレシャンの映画のなかでは(決してつまらないわけではないけど)一番魅力に乏しい映画のように感じ…

●昨日に引き続き、体調不良で、午前中いっぱいはずっと横になっていて、何も出来ない状態。午後になって多少回復してきたので、おかゆをつくって(炊飯器の「おかゆモード」を使ったのは何年ぶりだろうか)、ほぼ丸二日ぶりに、固形物を身体のなかに入れた。た…

●昨日の夜中から、激しい腹痛と下痢に襲われ、朝まで一睡も出来なくて、朝方になって多少は痛みも和らいだので、昼頃までうとうと出来たのだが、午後になると、腹痛だけではなくて、節々の痛みや頭痛なども加わり、ヤバそうなものを食べたおぼえがないので、…

いまおかしんぢ『いかせたい女 彩られた柔肌』

●いまおかしんぢ(=いまおかしんじ)『いかせたい女 彩られた柔肌』をビデオで。この映画がつくられたのは98年で、つまりノストラダムスの大予言がまだ「生きて」いた頃で、そういう世紀末な雰囲気を、今の時点からみると反映し過ぎなんじゃないかと思うくらい…

にしゅうかんぶりになっとうをたべることができた

●にしゅうかんぶりになっとうをたべることができたしあわせをかみさまにかんしゃします。なっとうはかわらずにおいしかったです。 ●原稿の依頼は、ない時にはまったくないのに、ある時にはいくつも重なってしまうもので、月末から来月はじめくらいまでに書く…

いまおかしんじ『かえるのうた』

●いまおかしんじ『かえるのうた』をDVDで。『たまもの』と同様、最初に出て来る主役の女の子のキャラクターがなんとなく嫌で、この女の子の話をずっとみせられるのはキツいなあと思うのだけど、それでも結局最後まで観てしまうし、最後まで見れば、好感を持…

ジャック・ドワイヨン『恋する女』

●横浜の芸大馬車道校舎で批評家の大寺眞輔氏がやっているシネクラブに、ジャック・ドワイヨン『恋する女』(1987年)を観に行く。正直、目当ては映画というよりもゲストの風間志織の話を聞くこと(というか、風間志織を「見に行く」こと)だったのだが、映画が、…

●薄暗くなってから、日がとっぷりと暮れるまでの一時間ちょっと、川沿いの道を散歩した。ゆっくりと少しずつ暗くなってゆく川原。八王子に住むようになってもう十九年目になり、その間何度か引っ越ししたけど、その移動はごく狭い範囲で、同じ駅の周辺で、だ…

●時期外れの話だが、ぼくはM-1グランプリが嫌いだ。というか、コンクールという形式が嫌いなのだ。コンクールなんていう場で、本当に面白いことが起こるはずがないと思う。コンクールとは、コンクールという形式によって無理矢理に「熱さ」をつくりだし、そ…

●引用、メモ。『構造と力』(浅田彰)「第三章ラカン」より。久しぶりに読んだけど、さすがにすごくわかりやすい。 《生ある自然からの致命的なズレ。これこそ人間の根源的条件である。ラカンはその根拠として、ボルクの胎児化説(E186)などを援用しつつ、出生…

秋本将人「SEASON WITH SEASONING」

●久しぶりに、ちょっと面白い絵を観ることができた。恵比寿にある、ギャラリー工房"親(ちか)"http://www.kobochika.com/というところで観た、秋本将人という人の絵だ。ぼくはこの作家について全く何も知らなくて、もらったDMの消印が上野だったからきっと芸…

●昨日観たアクラム・カーン+シディ・ラルビ・シェルカウイ「ゼロ度」で使われていたアントニー・ゴームリーのシリコン人形が、何故台座もなしに、普通に立つことが出来るのかが気になっている。足を肩幅くらいに広げているとはいえ、普通に考えてあの姿勢で…

アクラム・カーン+シディ・ラルビ・シェルカウイ

●薦められて、アクラム・カーン+シディ・ラルビ・シェルカウイ「ゼロ度」を観に、彩の国さいたま芸術劇場まで行った。ほとんど何の予備知識もなく、ふらっと出かけたのだけど、これがとても面白かった。ひっかかりがあるとすれば、ちょっと面白くし過ぎなん…

●引用、メモ。樫村晴香「ストア派とアリストテレス・連続性の時代」より。以下に書かれたことは、ものすごく重要なことだと思われる。 ●《真理あるいはその開示が、そのまま善として倫理的価値をもつのは、開示の実体が転移だからであり、外傷の共有がそれを…

●長谷川等伯の「松林図屏風」を観に、上野の東京国立博物館へ行った。東京国立博物館には一日居ても足りないくらいに観るものがいっぱいあって、ぶらぶらと観ているうちにすぐに閉館時間になってしまう。客層もけっこう多彩で、まあ、いかにも博物館にいそう…

●最近出た、フーコーの『マネの絵画』(筑摩書房)の、フーコーの講演の部分だけ読んだ。きわめて常識的なフォーマリスティックな分析に終始していて、しかもその分析も、それほど切れ味鋭く、深く切り込んでいるというわけでもなく、こういう分析なら何もフー…

いまおかしんじ『たまもの』(2005年)をDVDで

●いまおかしんじ『たまもの』(2005年)をDVDで。いまおかしんじ(今岡信治)の映画を観たのははじめてだけど、なるほどこれは評判になるのも当然だと思った。圧倒的な傑作というのではなくて、様々な要素の絶妙なバランスによって出来上がった、奇跡的に微妙な…

●大林宣彦『HOUSE(ハウス)』(1977年)をDVDで観た。女の子のキャラクターを大胆に類型的な役割にまで還元して、それ以上の内面的複雑さをもたせず、ただ身体的イメージとして(エロとして)のみ提示するということを、ここまではっきりと自覚的にやったのは、日…

●引用。メモ。鈴木國文『神経症のディスクールと「治癒」』から。 《フロイトは『精神分析入門』で「神経症はまさしく一種の無知、すなわち知っているはずの心的過程を知らないでいることの結果」であると言い、それに続けて「(分析家は)自分の知り得たこと…

●ジャ・ジャンクー『世界』をDVDで。ベルトルッチとつづけて観ると、どうしても「希薄」な感じはしてしまうのだが、しかし、これはベルトルッチ的な「映画」とはまた全く違ったところで、「映画」を成立させようとしている。例えば、終盤、主人公の同僚の結…

●ベルトルッチ『1900年』をビデオで。300分以上、どこを切っても映画がぎっしりと詰まっている。こんなに「濃い」映画はそうそうは観られない。ベルトルッチと比べれば、ヴィスコンティとかフェリーニとかは断然「薄い」。この映画は、あまりに空気が濃くて…

●実家にいる間、実家に置いてある(大昔に読んだ)栗本薫の「薫くんシリーズ」と、新井素子の初期の小説をいくつか読んだ。栗本薫と新井素子は、同じ年(1978年)に、それぞれ、江戸川乱歩賞と奇想天外社のSF新人賞(佳作)でデビューした。(栗本薫=中島梓は、その…

●昨日の日記を更新して、その後だらだらネットをみていたら、いつのまにか年が明けていた。金原ひとみ「ハイドラ」(「新潮」1月号)、野村美月『"文学少女"と死にたがりの道化』を読む。フィリップ・ガレル『内なる傷跡』をDVDで。 ●「ハイドラ」は、この小…