2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

カンディンスキーとマティス

●ゴンブリッチの『美術の物語』をパラパラと眺めていて、カンディンスキー(1866-1944)とマティス(1869-1954)が、ほとんど同世代の画家だということを、はじめて意識した。この本では、同じ紙の裏表(571ページと572ページ)に、カンディンスキーの「コサック兵…

とてもよい天気

●とてもよい天気。(植物、四月。http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/p0704.html) ●昼過ぎに駅前のスーパーに買物に行った帰り、その裏にある広い敷地の畑(雑草だらけで手入れの行き届いていない、いかにもやる気のなさそうな畑なのだった)で、おっさん…

『オトシモノ』と『トップをねらえ2!』

●古沢健『オトシモノ』をDVDで。これは全然ダメな映画だった。まず、主演の沢尻エリカがダメで、この人はカメラの前でどうしたら自分が「かわいく写るか」しか考えてないんじゃないかと思う。しかしそれは主に監督の責任で、監督は下手な女優を上手にさせる…

モディリアーニと井上実

●渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」、神楽坂のAYUMI GALLERYで、井上実・展http://www.ayumi-g.com/ex07/0717.html。ナディッフでゴンブリッチの『美術の物語』を買う。この、煉瓦のような、というか、コンクリート…

美的判断は、

●美的判断は、共同性とも社会性とも関係のない、あくまで孤独なものだ。徹底して孤独なものだからこそ、共同体や社会と関係なく、あるいは文化資本とは関係なく、あらゆる人に対して「より無防備に開かれている」可能性を持ち得る。美的判断が、社会性を担保…

矢崎仁司『ストロベリーショートケイクス』

●矢崎仁司『ストロベリーショートケイクス』をDVDで観た。この映画にイラストレーターの役で出ている人(岩瀬塔子)は原作者の魚喃キリコだという話があって、それが本当なのかどうかは分らないけど、どちらにしろこの役の人が「俳優」ではなく、「実物」であ…

クリント・イーストウッド『硫黄島からの手紙』

●クリント・イーストウッド『硫黄島からの手紙』をDVDで。これは、最近のイーストウッドの作品としては決して完璧なものではないだろう。というか、はっきりと「緩い」。特に前半は、どこに焦点があるのかよく分らないまま、冗長な描写がつづいている。イー…

絵を描く

●ぼくは自分のことを「画家」だと思っている。このことは、もう四十歳にもなろうとしているのにまったくお金がなく、社会的にも(画家としても)認められていないし将来の見通しもなく、友達も少ないという典型的な「ダメな奴」なのにも関わらず、ほとんど、自…

裸婦を描く(2)

●昨日につづいて、デッサン会二日目。昨日は、とにかく新鮮で楽しいばかりだったのだけど、今日はちょっと罠にはまってしまった感じて苦労した。なににしても、最初は新鮮で楽しいのだけど、二回目、三回目になると、具体的な問題がいろいろと見えてくるもの…

裸婦を描く

●地元の愛好家の方々がやっているデッサン会に参加させていただいた。モデルを前にして人体を描いたのなんて、何年ぶりだろうか。人体をモチーフにした作品をつくりたいという思いは、2004年にマティスの展覧会を観て以来ずっとあったし、それは最近、演劇や…

『時をかける少女』(細田守)

●『時をかける少女』(細田守)をDVDで。評判の作品だったから期待して観たけど、丁寧につくってはあるけど、いまひとつ冴えない作品だと思う。観ながらずっと考えていたのは、アニメーションにおける風景表現のことと、それとも繋がるのだが、アニメにとって…

引用、樫村晴香(「現代ナントカ」補遺)

●15日や17日に書いたようなことを考えていると、いつも結局、樫村晴香の、例えば次に引用するような文章に突き当たってしまう。というか、ぼくが「現在」から感じている感触の多くは、樫村氏のテキストを読んだことのインパクトによってもたらされているのだ…

●ドローイングを描くための紙を買いにいきたいと思っているのだが、ここ二、三日ずっと雨なので買いにいけない。キャンバスに張る麻布だったら、多少雨が降っていても、ビニールを被せて濡れないように気を使えば、駅から自分の部屋までくらいの道のりならな…

「現代ナントカ」のつづき

(ちょっと、一昨日のつづき) ●人から聞いた話だが、以前は、本が朝日新聞の書評欄に取り上げられれば、即、増刷が決まったそうだ。しかし、今はそんなことはないらしい。勿論、書評に取り上げられれば一定の宣伝効果はあるだろう。しかしそれはあくまで宣伝…

描くことと、作業すること

●制作の時はかなりの緊張状態なので、集中力はせいぜい三時間くらいしかもたない。緊張とか集中とかいっても、一心不乱に画面に向かっているのではなく、できるだけ注意を多方向に散らせて、そわそわと落ち着かない感じを持続させるのだけど。ウキウキしてい…

「現代ナントカ」

●保坂和志の文章(「いまや忘れられつつある"現代"」http://web.soshisha.com/archives/world/2007_0329.php)に刺激されて、「現代」について少し考えてみる。 ●「現代美術」という時の「現代」には、二つの異なる意味が重ねられているように思う。一つは、ま…

『トップをねらえ!』(VOL.1〜3)をDVDで

●『トップをねらえ!』(VOL.1〜3)をDVDで。以前、『トップをねらえ2!』の方を先に観て、あまり面白いとは思えなかったので、今まで観てなかった。1、2話(VOL.1)、3、4話(VOL.2)、5、6話(VOL.3)と、どんどん作品が別物になってゆく。作品としての整合性という…

●最近、「風の旅人」にぼくが書いている文章を両親が読んでいるらしくて、メールで感想が送られてきたりする。これはちょっとした驚きなのだった。ぼくの両親は、基本的に本を読んだりするような人ではない。父親の本棚では、成功した人の人生訓とか、スポー…

中平卓馬の写真を見るのはむつかしい

(昨日のつづき) ●それにしても中平卓馬の写真を見るのはむつかしい。展覧会(http://www.shugoarts.com/jp/current.html)の会場に入ってすぐに感じる途方に暮れるような感覚。そのあまりにもくっきりとした屈託のない色彩は、けばけばしく薄っぺらのようにさ…

リー・フリードランダーと中平卓馬

●青山のラットギャラリーで、リー・フリードランダー展http://www.ratholegallery.com/exhibition.html。清澄のシュウゴアーツで、中平卓馬展「なぜ、他ならぬ横浜図鑑か!!」http://www.shugoarts.com/jp/current.html。 ●写真を観ることは難しい。それはお…

アルフォソン・キュアロン『天国の口、終わりの楽園』

●アルフォソン・キュアロン『天国の口、終わりの楽園』をビデオで。前景に、徹底してジャンルの規則にのっとった、紋切り型の青春モノがあって、後景に、その裏側にある現実的なものの「厚み」を余剰として示そうとする、というつくりは、『トゥモロー・ワー…

クレヨンでドローイングを描いてみた

●クレヨンでドローイングを描いてみた。クレヨンの線は不思議と楽天的なものになる。良く言えば伸びやかに動くのだが、悪く言えば調子に乗ってはしり過ぎる。つい調子に乗ってはしってしまう線の制御がうまくゆかず、何枚か失敗する。しかし徐々に、ちょっと…

都知事選挙

●若い頃に「公募展」みたいなのに何度か応募したことがあって、当然のようにぼくのような作品では評価されることはなくて落とされるわけで、で、その展覧会を観に行くと入選している作品はだいたい酷いものばかりで、むしろこんな人たちと一緒にされなくてよ…

散歩

●最近の散歩(07/04/05〜4/7)http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/sanpo070407.html ●上でリンクしている写真の五枚目は、今日、散歩をしていて行き当たった場所なのだけど、盆地のように周囲を小さな山に囲まれている、それほど広くない一帯で、その山…

お知らせと、『レディ・イン・ザ・ウォーター』

●お知らせ。「新潮」五月号(http://www.shinchosha.co.jp/shincho/)に、岡田利規『わたしたちに許された特別な時間の終わり』についての書評(「探る手の〈動き〉が掴み取る〈形〉」)を書いています。同じ号の保坂和志「小説をめぐって(三十一)」でも、同じ本…

M・ナイト・シャマラン『レディ・イン・ザ・ウォーター』

●M・ナイト・シャマラン『レディ・イン・ザ・ウォーター』をDVDで。この映画はイタリアから帰って来るときの飛行機のなかでやっていたのだが、最初の十分か十五分くらい観て、あまりに下らないので観るのをやめてしまった。改めて観てみても、開いた口が塞が…

アニメ的な風景表現について

●『風人物語』という何年か前につくられたアニメを観ていて、ぼくは自分が何故こんなにアニメ的な風景表現というか、風景描写が嫌いなのだろうか、と思った。 ●例えば、春になって気候がかわり、それによって体調や気分に変化が起こることと、人を泣かせるた…

トニー・スコット『ドミノ』

●トニー・スコット『ドミノ』をDVDで。こんだけ馬鹿げた法螺話(といっても、実話が元になっているらしいけど)を、これだけ観られるものに仕立ててしまう手捌きはさすがだとは思う。それに、現代のアメリカ社会に対する一定の配慮というか目配せもきちんとさ…

最近、ドローイングを描きながら

●最近、ドローイングを描きながら、半ば意識的に独り言をつぶやくようになった。線をひいている瞬間はその行為に完全に集中するから、もちろん発語するなんて余計なことは御法度で、無言だけど、自分が今、ひいた線を、一歩下がって吟味し、その次の展開を考…

07/04/01(日) ●お知らせ。今出ている「風の旅人」(25号)に、「停滞する時間、反復する時間」という文章を書いています。 ●午前中はドローイング。午後、紙を買うために出掛ける。気持ちの悪いようなあたたかさ。 ●ドローイングに使う筆を、コシの強い平筆に…