2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

●お知らせ。「風の旅人」28号に、『「ある体系」への信頼と、その外側にまでひろがるもの』という文章を書いています。 ●貧乏臭い話だけど、最近、乾物の力というのを思い知らされている。干し椎茸や切り干し大根の実力は相当なものだ。

『ナイト・ピープル』

●昨日、早稲田松竹で『マルホランド・ドライブ』を観て面白かったのでその勢いで、帰りに新宿のツタヤに寄って(半額セール中だったこともあり)沢山DVDを借りてしまった。そこで『ナイト・ピープル』というリンチについてのドキュメンタリーも借りたのだけど…

『マルホランド・ドライブ』の構造は

●寝込むこほどでもないが、しかしかなり体調が良くないので、なにかとだらだら過ごしてしまう。だらだらしているのはいつものことなのだが、何か「抑え」がきかなくなっていて、下らないテレビ番組をいつまでも、スイッチをオフにするための気力が無いという…

引用、メモ。『セザンヌとの対話』

●寝込む程ではない風邪の症状がなんとなくつづいている。昼過ぎまで半日寝て、駅近くの喫茶店へ原稿を書きにゆく。昨日は涼しかったので冷房はあまり効いていなかったのだが、今日はかなり強い。それを見越して厚着していったのだが、それでも冷える。トイレ…

『サッドヴァケイション』について、もうちょっと

●『サッドヴァケイション』(青山真治)について、もうちょっと。この映画は中心に浅野忠信がいて、浅野忠信と石田えり、浅野忠信と中村嘉葎雄、浅野忠信と板谷由夏、というような関係がそれぞれ描かれる。石田えりと中村嘉葎雄の夫婦の関係はとても微妙なもの…

『サッドヴァケイション』(青山真治)

●新宿武蔵野館で『サッドヴァケイション』(青山真治)。とりあえずとても面白かった。渾身の傑作というよりも、どこか軽さと余裕を残している感じもいいと思う。それでも、「でも」とどこか保留をつけたいと思ってしまうのは、ここが納得出来ないとかあそこが…

風邪ひいた

●ここ、二、三日、体調がいまいちだと思っていたら、風邪ひいたみたいだ。原因はおそらく、最近、まるで出勤するかのように頻繁に通っては長居する喫茶店の冷房が、ほとんど真夏と同じくらいの強さで効き過ぎていているせいだろう。 ●部屋から駅までの道の途…

中野成樹+フランケンズ『遊び半分』についてもうちょっと

●昨日観た中野成樹+フランケンズ『遊び半分』についてもうちょっとだけ。昨日の日記に、この「お話」がまるでスクリューボールコメディのように面白いということを書いたけど、しかしそれと同時に、まるでチェーホフのように面白いとも言える。例えば、チェ…

中野成樹+フランケンズ『遊び半分』

●赤坂RED/THEATERで、中野成樹+フランケンズ(http://frankens.net/)『遊び半分』。最初、「うわっ、演劇っぽい」と感じて、ちょっとキツいかなあと思ったのだが、すくに引き込まれた。とにかく「お話」が面白い。古典的な戯曲が持つ構造的な力というのを感…

『冷たい血』

●昨日の『WILD LIFE』(97年)と『シェイディー・グローヴ』(99年)につづいて、今日は『冷たい血』(97年)をビデオで観た。九十年代終わり頃に、いわゆるVシネマと呼ばれるような枠のなかで青山真治がつくっていた映画は、その当時にハマってあまりに熱心に観て…

昨日、『サッドヴァケイション』を見損なって

●昨日、『サッドヴァケイション』を見損なってしまったので、ウチで『WILD LIFE』(97年)と『シェイディー・グローヴ』(99年)をビデオで観る。『WILD LIFE』は、青山真治監督の映画のなかで一番好きなもので、このサイト「無名アーティストのWIldlife」という…

『エヴァンゲリヲン新劇場版 序』

●『エヴァンゲリヲン新劇場版 序』を新宿ミラノ1で。本当は『サッドヴァケイション』を観に行ったのだけど、「立ち見」ということなのでまた今度にして、同じところでやっている『デス・プルーフ』にしようかとも思ったのだが、こちらも「ほぼ満席」とのこと…

もう少し、『こんなとき私はどうしてきたか』

07/09/18(火) ●もう少し、『こんなとき私はどうしてきたか』(中井久夫)から引用、メモ。 《ただ、妄想は病気の本体ではありません。妄想というのは、なんといっても世界の一部分の出来事にすぎません。CIAだって何だって宇宙のごく一部にすぎません。世界が…

『こんなとき私はどうしてきたか』(中井久夫)

●『こんなとき私はどうしてきたか』(中井久夫)。折に触れて、何度も読み返すだろうと思う素晴らしい本。この本は、あくまで実践的な本だ。まず第一に、この本は、精神科の病棟で働く医師や看護師に向けたレクチャーを本にしたもので、その意味で実践的だ。そ…

サンプル『カロリーの消費』

●三鷹市芸術文化センターでサンプル『カロリーの消費』(作・演出-松井周)。この芝居については原稿を書くことになっているので、簡単なメモだけ。冒頭のシーンの、とにかく人を嫌な気持ちにさせるテンションが半端ではなかった。カントを読まない人でも知っ…

小林正人「ライトペインティング」

●昨日、シュウゴアーツで観た小林正人の「ライトペインティング」(http://www.shugoarts.com/jp/kobayashi.html)について。九十年代のはじめ頃からずっと、小林正人の作品に強い関心と尊敬とを持ちつづけている者からすると、ここで展示されている作品に対し…

リンチと坂本+高谷

●清澄のシュウゴアーツで小林正人「ライトペインティング」、初台のICCで、坂本龍一+高谷史郎「LIFE-fluid,invisible,inaudible....」(内覧会)。 ●リンチの映画を観るということは、結局はリンチという人の特異性を感じるということだろうと思う。おそらく…

『ツインピークス/ローラ・パーマー最後の7日間』(デヴィッド・リン

●ちょうど良い陽気だったので、久しぶりにゆっくり時間をかけて散歩した。木々は、まだまだ緑が濃くて目に心地良い。涼しいのだが、歩くと軽く汗ばむ。 ●『ツインピークス/ローラ・パーマー最後の7日間』(デヴィッド・リンチ)をビデオで。探していたのにな…

打ち合わせと杉田かおる

●神楽坂で打ち合わせ。ほぼ二時間くらい、話はずっと平行線だったように思うけど、相手方のある指摘をきっかけに、なるほどとすんなり納得がゆく。人とは話してみるものだ、と、あたりまえのことを改めて思う。 考えてみれば、自分が書いたものについて、人…

『マリアのお雪』(溝口健二)

●『マリアのお雪』(溝口健二)をビデオで。これは無茶苦茶に面白い。実写映画のリアリズムと新派の芝居とが混じり合わないままに平気で同居している。(それに、西部劇や、おそらく表現主義の影響なんかも加わっている。)映画というメディアの特性によって新派…

ドゥルーズは精神分析を批判するけど

●ドゥルーズは精神分析を批判するけど、ラカンから多大な影響を受けていることは明らかで(特に『意味の論理学』)、例えば「器官なき身体」というのは要するに、決してファルスによっては完全に統合されてしまうことのない、欲動の循環する部分対象(現実界と…

芸大美術館で「金刀比羅宮 書院の美」

●今日も夏。陽射しは、昨日よりも今日の方が夏っぽい。目黒区美術館のすぐ近くのプールは、まるで夏休み中のようなにぎわい。こういう日に美術館をまわるのは間違っている気もする。 ●芸大美術館で「金刀比羅宮 書院の美」。最終日のせいか、強い陽射しのな…

成瀬の『流れる』をDVDで

●台風が去って、夏が戻ったような陽気。今年の夏は、長い梅雨のあといきなりやってきて、猛烈に暑かったけど、惜しむ暇もなくさっさと行ってしまった感じだったが、また戻って来た。 ●成瀬の『流れる』をDVDで。はじめて観たわけではないので知っているはず…

『ランシエール 新』(市田良彦)

●『ランシエール 新』(市田良彦)の第一章を読んだらとても面白くて、もう一度繰り返して、傍線を引いたりメモをとったりしながら読み返した。(でも、今、第二章の半分くらいまで読んでいるのだけど、二章にはいると急にテンションが落ちて、つまらなくなる。…

『インシテミル』(米澤穂信)について、もうちょっと

●昨日の夜、帰宅すると、電話の回線が繋がらなくなっていた。こういうことは何年か前にも(たぶん、ちょうど同じような時期に)あったので、原因は予想がついた。今日になってから、NTTに携帯から電話して、修理に来てもらった。原因は思った通り、ジャックと…

『インシテミル』(米澤穂信)

●『インシテミル』(米澤穂信)。最初は、設定のあまりの不自然さ(マニアックさ)に引き気味だった。職業作家としてやってゆくには、こういうのも書けないときついのかもなあ、という感じで読んでいた。しかし、退屈なのは一応の「設定」の説明が済むまでで、そ…

デイビィッド・リンチ『インランド・エンパイア』(1回目)つづき

(昨日のつづき) ●例えば『ロスト・ハイウェイ』の世界の根本にあるのは妻の過去への不信であり、それによって、世界のあらゆる事柄に「妻の過去」へと結びつく何かしらの「意味」があるかのように感じられるようになり、そうなると、あらゆる事柄を「どうで…

デイビィッド・リンチ『インランド・エンパイア』(1回目)

●立川シネマシティ2で、デイビィッド・リンチ『インランド・エンパイア』(観たのは昨日)。リンチにおいては、時間と空間の秩序は信用されないし、人物の同一性すら信用出来ない。それはいつものことだ。しかしこの映画では加えて、イメージそのものすら、信…

『松ヶ根乱射事件』(山下敦弘)をDVDで

●『松ヶ根乱射事件』(山下敦弘)をDVDで。面白かった。この映画で面白いのはまず、主役の双子が、どっちがどっちなのか途中までよく分らないところ。途中まで区別がつかなくて、「?」「?」と思って見ているのだけど、それがそのうちに区別がつくようになり、…

『残菊物語』(溝口健二)をDVDで

●佐藤江梨子と松山ケンイチの出ているユニクロのコマーシャルでナレーションをやっている男性の声にいつも引っかかる。とても独特な、ちょっと籠ったような、しかし魅力的な声で、どこかで聞いた憶えが確実にある。でも、それが誰なのか、もう少しで思い出し…