2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

●渋谷ユーロスペースで『刑事ベラミー』(クロード・シャブロル)。偽日記を読んでいるという未知の方から、『刑事ベラミー』がすごいからぜひ観てくださいと言われ、チケットまでいただいた。ぼくはシャブロルはわりと苦手という認識があるのだが、人に勧めら…

●『借りぐらしのアリエッティ』(米林宏昌)をDVDで。まあ、楽しめた。でも、アニメーションの欲望に忠実な部分(縮尺の違いの表現が面白かった)と、何かを言いたい(メッセージ)的な部分とのバランスがすごく悪い感じ。でも、それがジブリっぽいところで、『フ…

●暑さはやわらぎ、しかし、まるくなったとはいえじっとりした熱が地表にへばりついている。日は完全に暮れているけど、空にまだかすかな光が残っている。汗や湿気を含んだシャツは少し重くなっている感じ。アスファルトが熱せられた匂い。土の匂い。水の匂い…

●『若きロッテちゃんの悩み』(いまおかしんじ)をDVDで。これはすばらしい。だけど、この映画が「いかにすばらしいのか」ということを書くための言葉がみつからない…。ただ、すばらしいとしか言えない。なので、以下に書かれるのはどうでもいいこと。 ●俳優が…

●『島田陽子に逢いたい』(いまおかしんじ)をDVDで。今までぼくが観たいまおかしんじの映画から考えると、島田陽子がいまおかしんじ好みの、あるいはいまおかしんじの映画に適切な女優とは思えない。ぼく自身も、島田陽子の演技が良いとも、島田陽子が良い女…

●昨日クレーを観ていて思ったのは、一部を除いたほとんどの作品で、線描のレイヤーと色彩のレイヤーとがきっぱり分離しているということ。例えばマティスにあるような、線と色彩とが、ある部分では絡まり合っていて、別の部分では離反しているみたいな複雑な…

●竹橋の近代美術館でクレー展、そのあと、六本木の新美術館でワシントン・ナショナルギャラリー展。クレーはもちろん面白かったし、良かったのだけど、ワシントン・ナショナルギャラリー展があまりにもすごかったので、ちょっと霞んでしまった。とはいえ、油…

●国分寺のスイッチポイントで、木村彩子・硨島伸彦展。 http://www.switch-point.com/2011/1112tenth6.html 硨島伸彦の立体作品は、最初に観た時は正直あまりよく分からなかったのだが、何回か観ているうちに、やはりこの形態はすごいものなんじゃないかと思…

●今がいちばんいい時で、これからどんどん日が短くなってゆくのかと思うと、それだけですこし憂鬱になる。晴れていて、いつまでも日が暮れないと、それだけでうれしい。光と陽気だけを糧に生きてる気がする。でも、暗いのが嫌いなわけではない。 ●目黒雅叙園…

●引用、メモ。『来たるべき思想史』(清水高志)、第四章「媒体(medium)論」より。ここではポスト構造主義の源流としてのデカルト-スピノザが批判され、それに対しライプニッツが提示されているのだが、よくあるポスト構造主義批判とは全然違っている。根本的…

●八か月ぶりくらいに髪を切った。なんとなく、そういうことをしたくなる陽気だった。髪は雑草のようにのびていて、出かける時は帽子で誤魔化していたのだが、もういい加減誤魔化しきれないひどい感じになっていて、近いうちに切らなくてはと思ってはいたのだ…

●カメラのファインダーは片目で覗くけど、デジカメの(携帯だけど)モニターは両目で見る。この違いは大きいかもしれない。 自分の撮った写真を後から見ると、画面左側がこちらにぐっと迫ってきて、右側が遠くへ抜けてゆくという風にフレーミングしていること…

●虚構(フィクション)を、リアルなもの(現実的なもの)に対するイマジナリーなもの(想像的なもの)としてだけ考えるのでなくて、アクチュアルなものに対するヴァーチャルなものとしても考えることが出来るのではないか。 ヴァーチャルとは、ヴァーチャルリアリ…

●雨が上がる。だが、曇りで、時々、ぱらっと降る。空間のなかに植物の気配が滲み出し、濃く漂う。

●オリヴェイラの『夜顔』をDVDで。豪華な黒。とにかく、いかに黒を美しく発色させるかということに賭けられた映画と言えるんじゃないだろうか。はじめからあからさまに黒(オーケストラと天井の間の黒)で、最後まで一貫して黒。徹底して黒。この艶っぽい黒の…

●画家としてのぼくにとっては50年代のアメリカが何より憧れで、でもそれはニューヨークスクール(抽象表現主義)に対する憧れというより、ブラックマウンテンカレッジへの憧れなのだ。ラウシェンバーグとカニングハムとケージが出会うことを可能にする土壌とし…

●『フラクタル』を1〜5話までDVDで。1、2話を観ている時は全然ダメじゃん、これ、と思っていたけど、5話くらいまでくると、それほどダメでもないかもしれないとも思うようになった。もうちょっと先まで観てみようか、と。まあ、長く観ているうちにどうしても…

●毎日、三、四時間ずつ、じっくり集中して『私のいない高校』を読む、というのを始めて八日目、ようやく最後までたどり着いた。いやー、面白かった。あまりにも集中させられるので、三、四時間があっという間であり、しかし、それでぐったり疲れしまう。ペー…

●ちょっと昨日のつづき、というか、不正確だったかもしれないところの部分的な言い換えと付け足し。「ユリイカ」ハルヒ特集の表紙のイラストについて。 ●長門の左(画面右)への傾きによって導入された動きは、平面的な広がりという次元では、左腕を掲げるハル…

●お知らせ。発売は14日ですが手元に届いたので。「ユリイカ」7月臨時増刊号(総特集・涼宮ハルヒのユリイカ!)に、「向こう側のユキとこちら側のハルヒ/アニメ版涼宮ハルヒシリーズについて」というテキストが載っています。 http://www.seidosha.co.jp/index…

●午後から駅前の喫茶店へ『私のいない高校』を読みに行く前の午前中、部屋で「死人を起こす」(『メルカトルかく語りき』所収)を読んだ。 麻耶雄嵩はやはり『夏と冬の奏鳴曲』が面白く、逆に言えばそれ以外はそれほどでもなく、一冊読むたびに「もう、これで…

●毎日三、四時間ずつ、じっくりと『私のいない高校』を読む、というのを始めて四日目で、ようやく半分くらいのところに差し掛かり、生徒たちは修学旅行のために羽田空港に集まった。こちらの気持ちもどんどん上がってくる。 ●小説における、登場人物の存在の…

●これは昨日のことだけど、玄関を開けたら外は真っ白だった。昔、八ミリフィルムが現像から戻ってきて、出来上がりのチェックのために映写してみる時、約三分二十秒のフィルムの最後に数コマ空白のフィルムがあって、そこにさしかかるとイメージがふわっと消…

●昨日の日記の途中で、いきなり青木淳悟という名前が出てくるのはいかにも唐突だけど、実は今、「私のいない高校」を読んでいる。「私のいない高校」は、「群像」に発表された時に(少し遅れて)読んだのだが、書評を書くために、ゲラの状態で改めてじっくりと…

●今まで特に興味なかったけど、下記のブログの六月四日の記述を読んで、『ブラックスワン』に興味をもった。 http://blog.livedoor.jp/spiderswithme/ 《(…)この映画のもっとも本質的で重要な対立は、アナログとデジタルの形式的な対立、この抑圧構造。 実際…

●気候が良いせいか、やたらとさわやかな夢を見る。良い天気なので部屋で窓を開け放していたら、アンガールズの田中卓志が颯爽と自転車でやって来て窓から顔を出す。ぼくは荷物を預かっていたことを思い出し、段ボールひと箱を窓越しに田中さんに渡しながら、…

●夢のなかで、会社のオフィスにいた。窓に近いデスクで、窓は三分の一くらい開かれ、雨が上がったばかりのような青い空が見えている。ビルの四階か五階くらいの高さの感じ。窓の外から、競うように鳴き合う甲高い小鳥の声が入ってくる。鳴き声は、ずっと前か…

●現代ハイツのGALLERY Den & .STでやっている「tokyo story vol.1」という展覧会が渋くて充実していた。 http://gendaiheights.sakura.ne.jp/gal07.html 上手くやり過ぎるとちょっとあざとい感じに見えてしまったりすると思うような作品が多いのだが、そう…

●昨日の夜、アロハシャツで通勤する人の映像(クールビズ)をニュースで観てから寝たのだが、今朝は寒さで目が覚めた(目が覚めたら寒かった、ではなく)。熱が出て寒気があるのかと思ったら、本当に寒いのだった。 ●『妄想少女オタク系』(堀禎一)。最近、鎮西尚…

●昨日、書き忘れたけど、昨日書いたような「真剣だが何のためになされるのかよく分からない取り組みがぐたぐたした時間のなかでなされる」という時空のなかで生きているのが芸術家であり(その時間は拡散的でありつつも、問いかけ、試み、展開という方向性も…