2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

●地井武男が亡くなったことを知った。「ちい散歩」が唐突な感じで終わってしまったのはからだが悪かったということだったのか、と思った。 「ちい散歩」が数ある「ぶらり旅」的な番組のなかで際立っていた一番の理由は、地井武男という人の人柄にあったので…

●作品が、ある一定方向の感情や感覚に染め上げられ、それを歌い上げてしまえば、その行為は制作ではなく扇動であり、それは作品ではなく誘導となり詭弁となってしまう。それは人を言いくるめようとしているのとかわらなくなる。作品は常に、複数の力、複数の…

●『小早川家の秋』(小津安二郎)をDVDで。この映画をはじめて観たのは二十歳前後の頃のことで、場所は銀座の並木座だった。プリントの状態は最悪で、リールによって、画面全体が赤く染まっていたり黄色く染まっていたりした。音も割れていて所々せりふが聞き…

●『機動戦艦ナデシコ』劇場版をDVDで。これは傑作ではないだろうか。ただし、この傑作を観るための条件として、本編であるテレビ版で描かれた出来事の関連と多数のキャラクターをしっかりと把握している必要がある。九十分余りのこの作品のなかに、オールス…

●『一万年、後‥‥。』(沖島勲)をDVDで。すっごく不思議なのだが、この映画のどの細部、どのネタを取り出してみても、それら一つ一つはまったくおもしろいとは思えないのに、作品全体としては、非常に強くある感覚が惹起される。実際、観始めて十分くらいか二…

●水田の苗が植えられた頃の二倍くらいの大きさになっていた。 ●あきらかに迷惑メールなのだが、タイトルが「この先生きのこ」となっているメールがあって、気になって開いてみたら、「この先生きのこるにはどうしたらいいか」というつまらないタイトルが途中…

●銀座のMEGUMI OGITA GALLERYでの硨島伸彦展について。 ●細部まで詳細に描写すればリアルになるわけではないし、形態を正確に再現すればリアルになるわけではない。その形態が人間に対してどのように働きかけるのか、あるいはその形態と人の脳との共鳴の間に…

●桜木町駅から横浜美術館へ。エルンストと中平卓馬を観た。京浜東北線で上野へ。芸大美術館で高橋由一を観た。日比谷線で東銀座へ。MEGUMI OGITA GALLERYで硨島伸彦を観た。東京駅方向へと歩き、八重洲ブックセンターに寄って本を買う。東京駅から東海道線で…

●バス停は川の向こうにある。バス停までは、二つ橋を渡る。二つというか、二本の川の合流地点のすぐ手前なので、二つの橋がほぼ一つにつながった長い橋を渡る。強い雨が降っていて、大き目の傘をもって出たのだが、橋の上では雨の降り方が違う。横方向の遮蔽…

●夏至の日。 ●引用、メモ。『解明 M・セールの世界』より。 以下でセールは、「抽象化しない」と言っているのでも「細部に拘泥する」と言っているのでもない。積極的に、「抽象化」し「総合」すると言っている。ただ、その抽象化するときの出発点や足場が違…

●『UNDERWATER LOVE おんなの河童』(いまおかしんじ)をDVDで。DVDで、とはいえ、映画を観るのは久しぶり(ここには書かなかったけど、実はアニメならば、『機動戦艦ナデシコ』を改めて最初から観直したりはしていた)。 でもこれはちょっと、いまおかしんじの…

●引っ越した先は生まれ育った土地だけど、住むのは25年ぶりくらいなので、馴染み感はあるのにどこになにがあるのかがさっぱり分からない。既視感だらけの迷路を歩いているような感じがすることがある。そんなときに、歩いていていきなり「昔のままで残ってい…

●磯崎憲一郎「見張りの男」(「文學界」7月号)の冒頭は次のようになっている。 《この子が大きくなったとき世界は大変なことになっているだろう、空気は汚れて鳥も空を飛べず、海や川は埋め立てられて魚が死に絶える、遠い国での戦争も終わることはない、そん…

●ようやく、磯崎憲一郎「見張りの男」(「文學界」7月号)を読んだ。面白くて三回つづけて読んだ。連作の一回目が母の話で、二回目が娘の話で、三回目は「孤独」の話なのかと思って読んでいたらじつは「過保護」の話だった、という…。そう思ってもう一度最初か…

●原稿を書いていた。書き出しからなかなか方向がみえずに苦労していたが、夜になってやっと、過去の「偽日記」がヒントとなって少しすすんだ。 ●ようやく「文學界」を手に入れた。 「新人小説月評」で郷原佳以さんが、担当期間中(半年間?)で最も印象に残った…

●昨日の天気予報では今日から天気は下り坂みたいなことを言っていた気がするのだけど、今朝の天気予報では今日いっぱいは天気がもつようなことを言っていた。アトリエの隣の敷地の境のあたりにチューリップを細長くしたような花が咲いていて、頭の部分をこち…

●用事があって駅前まで歩く。明日からは天気が悪くなる貴重な晴れ間となるようなので、バスには乗らず、緑の多い川沿いの道を歩くことにする。川沿いに出る前にも、大きな川に合流するそれより小さな川沿いの道をゆく。小さな川の土手には紫陽花がもくもくと…

●一昨日からのつづき。「永劫回帰の部屋」(折口子尚)について。 ●私1+私2であり、進行形と完了形の落差でもあり、僕たち私たちでもある「私」が、それでも私という位置に定位できているのは、ニーチェと対面し、ニーチェに対して存在しているから、というこ…

●「未来」というのは、誰にとっても未来でなければ成立しない。しかし相対論では、誰かにとって未来であるものが、別の誰かにとっては過去でもあり得る。すると「誰にとっても未来」というのがあり得なくなるから、この宇宙から未来はなくなって、すべて過去…

●「科学」というのは、宇宙に対する宇宙自身による自己言及だと言うことが出来る。だとすれば、「芸術」というのは、宇宙にとってどのような意味をもつと言えるのか。人間にとっての芸術の意味ではなく(芸術は人間にとってだけ意味があると考えるのではなく)…

●中沢新一は何を云っているのか。第五弾「愛と経済のロゴス」のustream録画。 http://www.ustream.tv/channel/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%A8-%E3%82%BD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A5-3-%E6%84%9B%E3%81%A8%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%81%AE%E3%83%AD%E3%82…

●明日の中沢新一読書会のためにもう一度『愛と経済のロゴス』を、ラカンの解説書などと比べながら読む。 http://lizliz.tea-nifty.com/mko/2012/05/post-8524.html この本は一見読みやすく、さらっと読んでなんとなくわかった気にはなれるから、そのレベルで…

●引っ越し後の本の整理はだいたいついた。ただ、本の収納のことを考えるのが精いっぱいで、それなりに量のあるCDやDVDのことまで考えていなかった。引っ越しの時、かなり悩んで本の数は五分の三くらいにまで減らしたのだが、CDやDVDまでは吟味している余裕が…

●引っ越しの準備、引っ越し、その後の重労働の蓄積のせいか、いきなり腰痛がきた。立って、歩いている分には何ともないのだが、腰を曲げようとしたり、しゃがもうとしたりすると痛みがはしる。水平方向の運動は通常速度なのに、垂直方向の運動が混じると急に…

●一ヶ月くらいつづいた引っ越しのごたごたも収束しつつあり、少し落ち着いてきたので、ようやく『カフカ式練習帳』(保坂和志)を読めた。面白かった。久々の新作小説だけど、読む前に想像していたよりずっと「保坂和志の長編小説」という感じだった。断片の記…

●昨日、今日のドローイング。色が、手の動きに与える影響はかなり大きいなあと思う。色は、手の動きそのものに働きかけるというより、描く気分に働きかけることによって、動きに影響するという感じだろうか。 ●今日の机の上。

●引っ越しで本をすべて出してみてはじめて気づいたのだが、本棚のうちの二つが、背面の羽目板の一部が(おそらく去年の地震のために)完全にはずれてしまっていた。そのまま運んできたのだけど、これにまた本を積めるのはやや不安なので、構造を補強する器具を…

●朝からずっと段ボール箱を開いては本の整理。ただ、それだけで一日が終わるのは嫌なので、夕方には中途半端だけど今日はここまでと強制終了して、二時間ほど本を読み、ドローイングを一枚描く。これだけで一日の感触がかわる。 ●五月に撮った写真。その一。…

●浅見貴子さんのアーティストトークを聞くために上野の森美術館へ。そしてその前に、もうすぐ終わってしまうセザンヌ展をもう一度観ようと国立新美術館へ。いつもならば、美術館に着くといてもたってもいられずそのまま急ぎ足で展示室に突入するのだが、引っ…

●ここ数日で、色鉛筆で描いたドローイング。 ●写真で見ると色があまりよく分からないかもしれない。でも、実物を見ても「色」自体がそれほど際立つわけではない(どれも単色で色の差異はないわけだし)。色それ自身よりも、線が色を持つことで、それぞれの色に…